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17/4/30 Sun. からだのふれあい

足を揉むと、同居人はすぐに寝てしまう。
ベッドにうつぶせになってもらい、ふくらはぎを揉みほぐして、土踏まずを親指で流し、あとは足の指を摘んだり、側面の部分を押したり、足首を回したり。ついでにかかとのひび割れにクリームを塗っておく。それがいつもの流れだ。たいていの場合、相手は10分もかからずロレツが回らなくなっている。
不安で眠れないとき、仕事で疲れたとき、明日は頑張らなければならないというとき、同居人は申し訳なさそうにマッサージをせがんでくる。よほど自分がつかれている時以外はわたしも応じて足を揉む。
1日のすべてを終えて、風呂にも入って、あとは眠るだけ。相手の今夜のしあわせな眠り、それから明日のしあわせを願いながら身体をさわって、すこしくだらない話もして、相手は気持ちよくなり感謝されて、まどろみの中にいる相手の頭を撫でて電気を消す。このコミュニケーションがわたしは好きだ。

マッサージの身体のふれあいは大切な行為で、余裕があればこれからもときどきしておきたい。わたしが足を触って、相手が気持ちよくて眠ってしまう様子をみるのは、本当に本当にしあわせだ。わたしの存在が相手の役に立って、嘘のない、眠りという事実で確認ができる。セックスと同じだ。セックスをたくさんする必要があったのは、嘘のない・射精という結果で自分が役に立ったことが確認できるからだ(それに、自分は性行為に対する脳と身体のポテンシャルが高いから行為そのものもけっこうすきだったし)。
いかにもメンヘラっぽいが、おかげでいまはセックスなしでもどうにかやってゆけていて、深い信頼を築いている。

わたしから足を揉まれたり髪を整えられたり鼻毛を切られたりして世話を焼かれている同居人は、ドキュメンタリー番組で見るカバやワニのようだ。わたしはその背中にいつもたむろしている小さい鳥で、カバの歯の間の掃除をしてきれいにすることで暮している。カバは安心して小鳥に身をまかせるし、食べてしまうこともしない。それによく似ている。