寝付けない

毎晩、夜が来るたびに同居人をひとつ嫌いになる。
原因は、彼と一緒に寝ることでわたしが寝付けなくなっていることだ。

イビキ

さいきん、同居人のイビキは殊更ひどくなった。
以前はブリーズライトをつけていたらどうにかおさまっていたものの、ここしばらくはどうにもならない。いや、していないよりかはしているほうが、イビキの始まりは遅いような…気がする。
一時期、イビキはほぼおさまったように思えた。ブリーズライトを連用していた時期で、しないでもうるさくなくなったときがあった。
それがさいきんは、深みのあるイビキが一晩中続く。
夜が深くなればなるほど、イビキの深みは増して行く。

狭くなるベッド

イビキだけではない。
同居人の身体の横幅も、さいきん増したように思う。
狭いスペースで身体をタテにして寝るのは決して気楽ではない。
それから、寝ながら抱きしめて来るのは、暑いし苦しいとはいえまだ可愛い。
けれど、暑くなって広げた肘に勢いよく打たれたり、重たい腕を乗せられたりするのはたまらない。
そのゼロ距離状態でイビキをかかれるのだからたまらない。
そのうちに身体に熱が移って、眠気は去って寝付けなくなる。

睡眠とわたし

わたしは、眠気がこないときもあるが、奇跡的に眠気があるときもこれでは寝付けない。
睡眠が足りなかったりうまくいかないことは、わたしにとって致命的だ。たっぷり睡眠を取らないと、機嫌も体調もすべてが崩れる。
夜が来るたびに殺意が沸く。どうしてこんなにイビキは神経を逆なでするのか。
遠くの方を車が走って行くような静かで心地よい音と入れ替わらないものか。
そう思っている間にイビキはどんどん深みを増し、布団は暑くなり、眠気は醒めていく。そこに暑くなった同居人の肘鉄が入る。
本当に、たまったものじゃない。
こんなことの繰り返しなので、布団に入る時間になるのがなんとなく憂鬱だ。

仕事のこと

この問題には、2つの具体的な解決案がある。
・私が仕事に就いて、いまより部屋数の多い場所に引っ越す。
・同居人が痩せて、イビキをかかないようにする。
同居人には、痩せる以外にも課題をいくつか渡してしまっている。まずはそちらを
まあ、わたしが仕事に就くのが妥当だろう。痩せてもイビキをかくケースもあるし。
就職活動は失敗ばかりだ。頑張ってるんだけどなあ…同居人を不安にさせることも多くて、この間は喧嘩の挙句マウスを投げた。早く働きたい。

自分を嫌いになる

夜中にこういうことを一人で考えて眠れなくて自分を嫌いになっていくのが一番いやだ。
夜が来るたびに眠れない自分をひとつ嫌いになる。
同居人をひとつ嫌いになる分は、昼間にひとつ、いや、ふたつぶんくらい取り戻せるからいい。
わたしのことを嫌いになるのは、少しずつ、見えない形で重なっていく。
普通に眠れて普通に動ける、そういう普通のことができない自分のことを嫌いになっていくのは辛い。

同居人のイビキ以外にも、仕事のことを考えるとなかなか夜も眠れない。
睡眠薬をもらったが、それを飲むと眠れても朝起きられない。
それになぜか薬で眠った翌朝の顔は、どこがどうとはいえないのだけどすごく不細工だ。
起きられないわたしのことも、不細工なわたしのことも、わたしは嫌いだ。ふたつ、嫌いになって重なっていく。
かといって寝不足じゃ、昼間は朦朧としているだけだ。
同居人はただ寝ているだけなのに、勝手に寝付けなくてイライラする自分のことも嫌いになる。
わたしはこれ以上わたしのことを、もう嫌いになりたくないよ〜。

つかれた

ああ、早く引っ越したい。
そして、ソファベッドでいいから自分一人で眠れる場所がほしい。
できれば、同居人のスタジオになる部屋は今と違ってドアで区切られているといい。

眠れない。眠りたい。疲れた。参った。