好きな漫画

となりのヤングジャンプで連載している『しをちゃんとぼく』という漫画が好きだ。
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コレ。
通称「しをちゃん」こと「死を失いし者」と小学生の「ぼく」(顔がもっちゃりしている)の日常系コメディ漫画なのだけど、この漫画の登場人物のそれぞれに自分を投影できる。し、してしまう。

「しをちゃん」のこと

「しをちゃん」は、死なない。死なないので、危険を感じる必要がない。だから、つまづいても転ぶことを防ぐことをするひつようがないので、頭から転ぶ。社会性を持とうという努力があるから、頭から転ぶと脳みそをこぼして迷惑になる…と悩む「しをちゃん」が面白い。
わたしは言語IQというのが平均よりもまあまあ高いそうだ。その代わり、動作IQという身体への出力の能力が平均より少し低い。
だからわたしは、頭ではわかっているのに身体が動かないもどかしさ、社会に馴染みたいのに上手く馴染めないもどかしさみたいなものを、この「しをちゃん」についつい重ねてしまう。

「ちかもとさん」のこと

DIYで新世界の創造に励む「ちかもとさん(力を求めし者さん)」もいい味を出してる。
この人もまた自意識過剰で気弱で良くも悪くも人の顔色を見る人で、かわいそうで可愛い。
わたしはまた、中学生の頃、人と話すのも目を合わせるのも怖くて、自分の顔が気持ち悪くて、マスクして毎日学校に通っていた時期のことを思い出して切ない。
あ〜、わかるわかる!と、思う。

「ぼく」のこと

老成したような子どもの主人公の「ぼく」も、友達いなさそうで好きだ。
落ち着いているね、と言われそうな子だけど、それでもまだ、子どもだというところが描かれているのが良い。わたしもそういう子どもだった。
どのキャラクターにも自分を重ねて読んでいる。誰にも欠けたところがあるのだけど、優しい世界なので楽しい。

フィクションの滋養を受け取れる頃

この間、大学時代の友人と、漫画を読まなくなったという話をしていた。
特に現代日本を舞台にした漫画で描かれるような「ドロドロした」感情、「リアルな」「複雑な」感情、みたいなもの、幼く思えてしまってどうにも読んでられないよね、という話をしていた。
我々は年を取ってしまって、そういうものにかかずらわるリソースがもうない。
あと服ももうフレッドペリーとかを一生懸命買う元気はなくてユニクロでいいやってなってる。
若い頃をサバイブした結果として、あとは生活をやってゆかねばならない。
それだから、フィクションをフィクションとして楽しめるようになった。
だから優しくて、だけど共感できて生きづらさを共有できたような気持ちになるこの作品が好きなのだと思う。

若いつもりが年をとった

まだまだ若いとはいえ、まあ1周目は終わった、と、思う。おかげで色々なものから自由になれた。こんな悟ったような口きくにはまだぜんぜん若いけど、だいぶ楽しい。
今までを振り返ると、もっと良い選択肢はあったかもしれない。
あの時ああしていれば、とか、どうしてあんな無駄な労力を、とか、思うことは多い。
とはいえ、色々あってもとにかく死なずにここまでこれてよかったね〜楽しいね〜と友達とも話していた。
生きづらいけど、今は余生、わたしはしをちゃんにそういう感じを投影して、好きでいるんだろうな〜。
全部読んでるけど作者の方を応援したくて、ようやく単行本を買った。絵も好みだし、この方がRTしている人を追っていくと性癖を煮詰めたみたいな作家さんに辿り着いたりする…。
久しぶりに、漫画読んだり、描いているひとをディグって世界が広がっていて、とても楽しい最近だ。
ウェブ漫画は1巻で途切れちゃうのとか多いけど、今後も頑張ってほしいな〜

しをちゃんとぼく 1 (ヤングジャンプコミックス)

しをちゃんとぼく 1 (ヤングジャンプコミックス)